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行きかふ人も又

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チェコ人形劇

 『チェコ人形劇の世界~オオカミの魅力と発見~』 オストラヴァ人形劇場&沢則行



念願の、本場チェコの人形劇を観に行きました。
札幌教育文化会館小ホールは、360席びっしりの満員御礼で、開演時間を過ぎてのスタートでした。


まずはオストラヴァの人形劇。
内容は~オオカミの魅力発見~ということで、オオカミの出てくる昔話『赤ずきん』『三匹のこぶた』『七匹のこやぎ』をひとつのお話にまとめた、ノンストップストーリーでした(笑)
赤ずきんちゃんが食べられ、こぶたが食べられ、こやぎが食べられて・・・最後に柱時計の中へ隠れた一匹とお母さんで、オオカミをやっつける。馴染みの物語です。
とにかく、人形劇の概念を覆す楽しさ!
影絵、人形、人間、みんな出揃って舞台を作ります。大道具・小道具の仕掛けも楽しく、音楽や細部にわたる照明まで、まさに総合芸術。

休憩を挟んだ第二部は『おおかみの眉毛』。
私は知らなかったのですが、こちらも有名な昔話だそうです。

(あらすじ)貧しさから、せめて狼に食べられてでも役に立って死にたいと山へ登った太郎。しかし狼は「お前は真人間だから食べられない」といい、おおかみの眉毛を与えます。この眉毛に透かして人間を見ると、その人の正体が見える。太郎が山を下りて試してみると、人間はみんな牛や猫や豚に見えるのでした。
そこへ現れたのはひとりの老人。透かして見るとなんと福の神に見えました。太郎の誠実さを見込んだ老人は、彼を跡取りに迎えたそうです。

前半とは打って変わり、奥深な日本の昔話を、神秘的な舞台に仕上げていました。比較的短かったけれど、見応えあって。
どちらの演出も、沢則行さんが行っていると思います。日本の物語がチェコ語になって上演されることに、違和感はまったくありません。
どちらも全編チェコ語で、時折、役者さんのユーモアで「ウンチ」とか「ブタニク」とか日本語が飛び出す可笑しさといったら!
久しぶりにお芝居らしいものを観た悦びもあって、ずーっと頬が緩んでいました。
オオカミに纏わる物語は意外と多いものなんですね。

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そうして最後は、札幌出身の沢則行氏による、ひとり人形劇芝居。
もとは教師をされていたそうですが、辞めて本場チェコの人形劇学校へ行き、プロになったそうです。欧州~日本を股にかけ、活躍されています。
演目は『人魚姫』『カニ』そして『URASHIMA』。
独創的な舞台は、音楽・照明へのこだわりが至る所に感じられて、素晴らしかったです。
とくに『URASHIMA』の演出は鳥肌が立つほど好きでした。美しく儚い世界。ひとりとは思えない。
本当にたくさん、努力をされたのでしょうね。雰囲気あって、とっても見事でした!

コンサートや演劇でも、私は最後のアンコールの拍手が大好きです。
見知らぬ人々が、たまたま同じ時間を共有して、公演後にはみんなの気持ちが一体になっている。それをひしひしと感じる瞬間だから。
劇場に入ったときは別々でも、ほんのひと時一体になる気持ちと気持ち。
アンコールの拍手を送る時の高揚感は、やっぱり生のホールでないと味わえないいいものです。








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